「ハーマイオニー、ハリーってカッコ良くない?」
「は?」
いじわるな王様
「だからハリーってカッコ良くない?」
「どこが?」
「あぁ・・・ハーマイオニーあなたって可哀想・・」
「何が可哀想なのよ?」
ラベンダーはハーマイオニーの「どこが?」の発言を聞いてヨヨヨ・・・と床に座り込んだ。
「ハリーのカッコ良さに気づかないなんて・・・」
「だからどこがカッコいいのよ?」
「まず顔!とても整った顔してるわぁ・・・」
そんなことを言うラベンダーの顔は何故かとろ〜んとしている。
「そうかしら?」
「性格もいいのよね。彼女できたら絶対大切にしそう」
「やってられないわ・・・」
「あ〜!待って待って待って!あなたに聞きたいことがあるのよ」
女子寮から出て行こうとするハーマイオニーをラベンダーが慌てて引き止めた。
「何?聞きたいことって?」
「あなた、ハリーのことどう思ってんの?」
「親友よ。ただのお友達」
「違くて異性としてはどうなの?」
「なんとも思わないわ」
ハーマイオニーの返事を聞いてまたしてもラベンダーは床に座り込んだ。
「でもちょっとは好きでしょ?」
床に座ったままの状態でラベンダーはハーマイオニーに質問した。
「それは・・・」
何故かハーマイオニーは口ごもっている。
「ん?それは・・・何?」
「えっと・・・」
ハーマイオニーが返事に困っていると女子寮の扉がノックされた。
「ハーマイオニーいる?」
今、話題になっていた『ハリー・ポッター』がやって来た。
「想い人の登場ね。はいは〜い、今行きま〜す」
「そんなこと言ってないじゃない!」
ラベンダーは扉のほうに駆けていくとハリーを中に入れたやった。
「ハリー、何か用?」
「ハーマイオニーお願い!レポート見せて!クィディッチの練習で出来なかったんだ!」
「別にいいわよ」
「え?」
ハーマイオニーのあっさりとした言葉にハリーは驚いた。
普段はレポートなど簡単には見せてくれないからだ。
「何よ、その顔?」
「だっていつもは僕達には見せてくれないじゃないか」
そこまで言ってハリーは後悔した。
「僕達?ロンもいるの?」
案の定、ハーマイオニーに気づかれてしまった。
「しまった!内緒だった!」
ハリーは慌てて口を塞いだが後の祭り。
「ロン、出てきなさい!」
ハーマイオニーが叫ぶと女子寮の入り口の影からロンが出てきた。
「ハリー!何でばらしたんだ!」
「ゴメン!口が滑って・・・!」
「何でレポート終わってないのよ!?」
「僕はクィディッチで・・・」
「ハリーは分かってるわ。ロンは?時間あったでしょ?」
「いや、忘れてて・・・」
「もういいわ。先に談話室に行ってて」
「ありがと!ハーマイオニー!」
「恩に着るよ!」
そういうと2人は女子寮からバタバタという音を立てて出て行った。
「ホントに見せるの?」
「大丈夫よ。ちゃんと自分で考えさせるから。
長くなりそうだからラベンダーは先に寝てていいわよ」
「OK。わかったわ」
そしてハーマイオニーはレポートを持って出て行った。
ハーマイオニーが出て行って30分もたった頃いきなり談話室から笑い声みたいなのが聞こえてきた。
レポートをやっていて笑い声などが聞こえてくるはずがない。
ラベンダーは足音を消して談話室を覗いた。
するとみんなでなにやら輪になって騒いでいる。
しかもその中にはどっから湧いて出たのかネビルやらシェーマスなどがいた。
みんなの手元を見てみると一人ひとり棒を持っている。
そう、王様ゲームをやっているのだ。
レポートはどうした、レポートは?ラベンダーはつい心の中で突っ込んだ。
そりゃ誰でも突っ込みたくなる。
「王様僕だよ〜!」
いきなりネビルが叫んだ。ネビルの棒の先端はホタルの様に光っている。
ネビルの命令だからとんでもない命令をするに決まっている。
「3番が1番をお姫様抱っこ!」
な、なんてベタなんだ・・・。
「3番誰〜?」
ネビルが聞くとハリーが手をあげた。
ハリーが手をあげたということは・・・?
ハリハーファンならすぐ分かるだろう。
「1番誰?」
ロンが質問するとハーマイオニーが手をあげた。
つまり・・・。
『ハリーがハーマイオニーをお姫様抱っこ』
ということになる。
ハーマイオニーが真っ赤になって立っている後ろではラベンダーがガッツポーズをしている。
よくやった!よくやったぞ、ネビル!
ラベンダーは心の中で叫びまくった。
真っ赤になっているハーマイオニーに痺れを切らしたのかロン達がはーやーく!
などといって急かしている。
ちらっと隣のハリーを見上げるとほんのり頬を染めている。
か、可愛い・・・!
そんなことを思っていると急に体が宙に浮いた。
「キャアァ!何!何でハリー私のこと抱えてるの!」
「ハ、ハーマイオニー!暴れると落ちる!」
ハーマイオニーがハリーの腕の中で暴れるので落としそうになった。
「降ろしてよ・・・」
「やだ。命令だもん」
「降ろして・・・」
ハーマイオニーは先ほどと比べ物にならないほど真っ赤になっている。まさにゆでだこだ。
「じゃあ次行こうよ」
ネビルがロンに言うとさっそく棒を混ぜ始めた。
「ちょ、ちょっとロン!私たちはどうするのよ!?」
「そのままだよ。当たり前じゃん」
「立ったまま?」
「座ればいいだろ?」
「なっ・・・!」
お姫様抱っこのまま座るとハリーの膝の上で横抱きにされるのだ。赤ちゃんのように。
「ハリーも嫌がってるからさ、ね?降ろしてもらってもいいでしょ?私重いから」
「え?僕一言も嫌なんて言ってないよ?それにハーマイオニーは十分軽いよ」
そういうといきなりハリーは床に座った。物の見事にハリーの膝の上で横抱きになっている。
談話室の入り口ではラベンダーがまたガッツポーズをしていた。
ロンが混ぜた棒を一人ひとり引くと今度はシェーマスが王様になった。
「2番と1番がほっぺたをくっつける!」
ロンが2番は誰か聞くとまたハリーになった。そして1番はハーマイオニーだった。
「何で2回連続なのよ!?しかも相手はハリーじゃない!」
「ロン達仕組んでるだろ!?」
「なにも。仕組んでないよ」
しばらく仕組んでるとか仕組んでないとか言い争いが続いたがハリーたちのほうが先に折れた。
しかしロンたちは明らかに仕組んでいた。
ハリーとハーマイオニーが掴んだ棒だけ番号が王様に分かるというものだった。
番号さえ分かってしまえばこっちの思う壺。
「いいから早くほっぺたくっつけろよ」
「この状態で?」
ハーマイオニーはまだハリーの膝の上から降ろしてもらってない。
このままほっぺたをくっつけろというのか?恥ずかしいに決まってる。
「ねえ、早く」
ネビルが急かすので仕方なくほっぺたをくっつけた。
そのさいハリーの唇がハーマイオニーの唇のすぐ横に当たってしまった。
2人はいきなり体をばっと離した。そして倒れてしまった。
ロン達が近づいて顔を覗き込むとまさにきゅぅ〜という感じだ。
それからは何をやっても起きないのでほっとくことにした。
次の朝になっても起きなかったのでグリフィンドール生は次々と広間に行ったり、教室に行ったりとした。
そしてスネイプの授業までにも遅れてムリヤリ起こされ罰を与えられた。
2人で広間の掃除だった。何故かハーマイオニーは掃除が終わるまでの間ずっと胸がどきどきしていた。
その日からハリーを意識するようになった。
このことに気づかせてくれたロン達に感謝したいとハーマイオニーは思った。
もちろんラベンダーにも。
ハリー!大好きだよ!!
fin
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